ThinkPadがThinkPadである理由

PCを購入するに当たって、スペックというのは非常に重要な指標だ。今なら、CPUがCore 2 DuoでメモリがDDR3で4GB、SSDなら128GBは欲しいなぁとかいうのは当然の議論だ。

一方で、ノートPCに置いては、重さや大きさが重要なのは当然にしても、ほぼ取り替えが不可能である液晶ディスプレイの見やすさや解像度、キーボードの打ちやすさ、そして、本体の剛性こそが肝であるともいえる。そういう意味では、ThinkPadが選ばれ続ける理由としてはスペックよりも、後者なのだろう。なぜならば、狭い意味でのスペックは各社横並びになることが間違いなく、ThinkPadだからといった差別化を図るのは難しいからだ。

しかし、ThinkPadを選び続ける理由はそこではないことが、自分自身の最近の浮気の結果分かってきた。SONYも良い製品を作っているし、最近のDellはデザインも悪くなくなってきている。Appleのデザインもすばらしい。わざわざ、中国製だとか揶揄されるようなPCを買う理由はないのかもしれない。そう思えば、つい、他の会社のPCに浮気したくなるのも無理はない。

ところが、結局、ThinkPadに戻ってくる。なぜなのか。結局、IBMが重視したことは、「ソフトウェア」であり、「サポート」だったからだろう。IBMというか、Lenovoが現在も貫いているポリシーには、プリインストール以外のOSもちゃんとサポートするというものがある。ThinkPadには、Linuxをインストールしても良いし、Vistaが入っていたマシンに、XP(これに関しては現状では他のメーカーもやっているけど・・・)をインストールしたり、あるいは、Vista BusinessだったマシンにVista Ultimateをインストールしても良い。それには、他のOS用のドライバをちゃんと供給してくれるという前提があるからだ。僕のようなひねくれ者が、ThinkPad X300Vistaの64bit版をインストールできるのも、64bit環境用のドライバがちゃんと供給されているからだ。

Appleのマシンではこうはいかないのが悲しい(Appleだけを攻めるのは不公平だけど)。Mac BookのBoot Campには、64bit版のドライバは付いていない。Mac Book Proとの差別化要因として意図的に外されている。それに、そもそもWindows用のドライバはオマケといった感じがぬぐえない。サポートがうんぬん以前にベータ版といってもおかしくない品質のものしか提供されていない。果たしてちゃんとテストしているのかどうかすら怪しい。

そういう意味では、ThinkPadのユーザーが本当に離れていくことがあるとすれば、それは、IBMではなくなったLenovoがコストなどの要因で、今以上にソフトウェアの品質を下げていったり、あるいは、プリインストール以外の環境を着るといった暴挙に出たときであろう。というか、個人的には、キーボードのクオリティが落ちようとも、それだけは絶対に勘弁して欲しい。